近年よく聞くプラスチックゴミ問題。
「プラスチックの問題って、そんなに深刻なの?」
「プラスチックゴミは毎日分別しているから、ちゃんとリサイクルされているんだよね?」
今日は、そんな疑問を一緒に解決していきましょう。
目次
ペットボトルゴミの現状。1分間に100万本捨てられる?!
プラスチックゴミが地球環境に多大な悪影響をおよぼしているという話は、いろいろな場所で聞いたことがあると思います。
今回はその中でも、ペットボトルについて焦点をあてていきます。
ところでみなさんは、どのくらいのペースでペットボトル飲料を購入しますか?
2017年度のペットボトルの出荷本数は227億本との統計が出ており、これは国民1人につき年間で180本消費していることになります。
そして、消費されたペットボトルはゴミとなって捨てられますよね。
世界中では年間4800億トン、言い換えると1分間になんと100万本ものペットボトルが捨てられているといわれているのです。(参照:プラなし生活)
ペットボトルの“高いリサイクル率”の嘘
膨大な量のペットボトルが毎年捨てられているのがわかりました。
しかし「ペットボトルはリサイクルされているんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
日本のペットボトルのリサイクル率はおよそ84%といわれています。
ちなみにヨーロッパのペットボトルリサイクル率は平均30%前後であるため、世界の中でも日本のペットボトルリサイクル率は高いです。
しかし、実はわたしたちが分別しているペットボトルのほとんどが、リサイクルがされていないのです。
次の項で「リサイクルは嘘なのか」に迫ります。
ペットボトルのリサイクル方法と、嘘の真相
リサイクルというと、「ゴミになったものが新たに形を変えて生まれ変わる」というイメージをもっているかもしれません。
しかし、実は日本でいう「リサイクル」はそれだけではないのです。
ここからは3つのリサイクル方法について解説していきます。
マテリアルリサイクル
「マテリアルリサイクル」はフレークやペレットという原料にしたのち、溶かして再び成形し、再び同じ製品かまたは別のプラスチック製品の樹脂材料として再利用します。
引用:Kids環境ECOワード
要は、マテリアルリサイクルとはペットボトルで言った場合、ペットボトルを溶かして再びプラスチック製品化します。
みなさんの思う、「ゴミになったものが新たに形を変えて生まれ変わる」というリサイクルそのもののイメージです。
しかしリサイクルの中でも、このマテリアルリサイクルはたったの23%だけなのです。
ケミカルリサイクル
「ケミカルリサイクル」は高温で熱分解して合成ガスや分解油などの化学原料にしたり、または化学的に分解してモノマーに戻すなど、他の化学物質に転換して再利用します。
引用:Kids環境ECOワード
ケミカルリサイクルは、リサイクルされたあと化学製品の材料となるだけでなく、ガス化したり油化したりもします。
しかしこのケミカルリサイクルは膨大なコストを必要とするため、全体のリサイクルの中でたったの4%だけなのです。
サーマルリサイクル
「サーマルリサイクル」は、廃プラスチックを焼却して熱エネルギーを回収したり、固形燃料にしたりする手法です。
引用:Kids環境ECOワード
ゴミになったペットボトルを燃やして、エネルギー燃料とするこのリサイクル方法。
実際に現在行われているペットボトルのリサイクルの半数以上がこの「サーマルリサイクル」です。
要は燃やされてエネルギーとして回収されているだけであり、何か別のものに生まれ変わったりしているわけではありません。
ちなみに欧米では、「サーマルリサイクル」をそもそもリサイクルとして捉えていません。
このサーマルリサイクルはリサイクル全体の中でも58%を占めています。
欧米ではリサイクルとみなされていないサーマルリサイクルが半数を占めているため、日本のリサイクル率は“数字だけを見れば”優秀なのです。(参照:Forbes Japan)
画像出典:プラスチックリサイクルの基礎知識2019┃一般社団法人プラスチック循環利用協会
これが、ペットボトルのリサイクル率84%が嘘だといわれる所以なのです。
マイクロプラスチックの問題点3つ
サーマルリサイクル(エネルギー回収)されなかった残りのペットボトルの多くは埋め立てられたり海に流されたりしています。
海に流されたペットボトルは最終的に5ミリ以下の大きさである「マイクロプラスチック」になります。
マイクロプラスチックは大きく分けて3つの問題(悪影響)があります。それらを紹介します。
マイクロプラスチックによる海洋汚染の問題
プラスチックの表面には目には見えにくいですが細かな凹凸があり、これは有害な化学物質を吸着しやすくなっています。
プラスチックそのものにも添加剤が使われていて、その添加剤は海洋汚染の原因になっています。
そして、マイクロプラスチックはその大きさがとても小さいので、回収が困難。
分解もされないので、海の中のマイクロプラスチックは溜まっていき、海洋汚染はひどくなる一方なのです。(参照:SMART TECH)
マイクロプラスチックによる海洋生物への問題
マイクロプラスチックは5ミリ以下のため、餌と間違えて海の生き物たちが食べてしまうことがあります。
もちろん栄養はないどころか、有害物質も含まれていることがあるので、それらが体の中に溜まったり、内臓に詰まってしまうことにより、多くの海の生き物たちが死んでしまっているのです。
マイクロプラスチックによる人体への問題
海の生き物たちの体に入ったマイクロプラスチックは、最終的に魚介類を食べるわたしたち人間の体の中にも入ってきています。
マイクロプラスチックによる人体への影響はまだハッキリとは解明されていませんが、癌や代謝性疾患の発症を引き起こす可能性のある化学物質が検出されているそうです。(参照:SMART TECH)
プラスチックゴミを減らすためにできること
わたしたちにできることはたくさんあります。その一つが、プラスチックゴミを減らすこと。
身の回りを見てみてください。日々の生活を思い出してみてください。
あなたの周りに、減らせるプラスチックゴミはないですか?
プラスチックゴミは他のどの生き物でもない、わたしたち人間が出しているゴミです。
小さな事かもしれませんが、一人ひとりが意識していくことが未来につながるのです。
わたしが実践している「脱プラ」はこちら>>プラスチックにNOを!あなたもできるエコな”脱プラ生活”のすすめ